相川病院

聴診器・医療改悪その後(1)

松田敏宣 相川病院 院長 


 医療保険が改悪されまして、お年寄りの場合1日500円の診察料がいります。更に薬代も取られる事になりました。(70歳以上の方の薬代は、平成11年7月よりなくなりました。しかし平成12年3月からは定率の負担をしてもらうという案が厚生省の審議会より出されています。)社会保険の本人も2割と患者さんの負担が2倍から、人によっては5倍の人も出てきています。医者としても非常にやりにくい事となっています。お年寄りは月々の小遣いというのが決まっているようです。その中から医療費も出しているようです。

 心臓病のおばあさんですが、薬剤負担がはじまった時、「わたしは年金で生活している。最低必要な費用を除くと自由に使える金は月2万円ぐらいです。病院代が4000円も5000円もかかると困るんです。」そういうことで診察室で薬代の計算をする始末です。医者か薬屋か分からないような事になりました。

 高血圧のおじいさんは薬袋を持って来て「先生これとこれは余ってるのでいりませんは」と言いました。今まではなかったことです。恐らく薬代の負担を少なくしようと考えてのことでしょう。「いやこの薬は脳卒中の予防になるし、これはコレステロールを下げるから飲んでほしいけどな」「そやけどこの薬飲んでも飲まんでも体の調子は変わらんけど」こんなやり取りが続きました。薬には痛み止めなどすぐ効く対症療法の薬と2−3年は飲まないと効果が出て来ない予防的な薬があるのです。納得してもらうのに一苦労しました。医療改悪の影響がもろに出て来たようです。

 今年の冬、お年寄りに肺炎がはやるのではないかと心配しています。なぜなら、風邪でも医療費を相当払わねばならなくなりました。そうすると医者への足が遠のき「風邪くらいならうどんでも食べて寝とこか」と言うお年寄りが増えるのではないか、そうするうちにお年寄りは抵抗力が弱いので、風邪から肺炎になってしまう。こういう心配をしています。

 銀行がどんどん潰れるような時代ですが、私たちも健康を守るため社会保障の闘いを一層強めましょう。

平成9年 秋


 

|戻る|