
聴診器・最近の在宅医療
当院は以前より在宅医療に力を入れて来たのはご承知の通りだが、最近は医療技術の発達により、今までなら到底退院できなかったような患者さんも、患者さんや家族の希望がかなって自宅で生活できるようになって来た。その辺りを紹介する。
1.呼吸管理
- [在宅酸素療法]
呼吸器の障害の患者さんの中には、肺気腫や結核後遺症で肺機能が低下し、血液中の酸素が不足している人がいます。こういう人は少し動くと息切れして生活できません。しかし酸素を吸うと呼吸が楽になり日常生活も可能です。自宅で生活するためには常時酸素が必要です。昔は酸素ボンベを自宅に持ち込んで吸っていましたが、すぐ無くなってしまいます。そこで電気で酸素を製造する機械が開発され24時間酸素が吸えるようになりました。また通院、歩行にも使える便利な携帯酸素もあります。- [気管切開]
脳卒中で寝たきりになると慢性気管支炎を合併して痰が貯まり出にくくなります。そうなると肺炎を起こしたり窒息したりします。そんな場合気管切開と言って、喉を気って痰が出易くします。吸引して痰を取ることもできます。吸引器などをそろえれば自宅での療養も可能です。- [在宅人工呼吸]
難病と言われる神経や筋肉が衰えてくる病気は、進行すると呼吸が麻痺するので長期の人工呼吸が必要です。最近在宅用のコンパクトな呼吸器が開発され、また保険適用も認められたため在宅人工呼吸の患者さんが増えています。当院では難病のALS(筋萎縮側索硬化症)や事故で脊髄損傷の方など4名の方を管理しています。器械の管理は家族の方も大変ですが、頑張っていただいています。2.栄養管理
栄養は病気の管理のうえで一番大事なもので、いくら良い薬を飲んでも、十分な栄養がなければ効果がありません。特にお年寄りの場合、歯が悪かったり、噛む力がなくなったり、胃腸の機能が低下したりで、十分な栄養が取れない場合があります。在宅で十分な栄養を取るために色々工夫をします。
- [栄養製剤]
食物は固形物が多く、お粥やジュースは栄養が余りありません。そこで取りやすくてかつ十分な栄養がある液体の栄養製剤が最近できています。糖分だけでなく脂肪やアミノ酸、ビタミンなどバランスのとれた栄養製剤です。1ccが1kcalです。あまり動かない老人であれば、1日1000〜1200ccぐらい取れば十分です。- [経管栄養]
脳卒中など病気によっては口から全く食事が取れない人もいます。こういう人は胃や腸まで管を入れて栄養製剤を流し込みます。レントゲン透視下で非常に細い管を鼻から十二指腸まで入れて固定します。管が細いので鼻や喉の苦痛は少ないようです。1カ月に1度交換が必要です。また最近は胃ろうと言っておなかから胃に直接、管を入れる方法も開発されています。- [点滴]
夏などお年寄りが食事が減って脱水状態になり衰弱すると、在宅で点滴をします。これは水分と栄養補給を兼ねています。点滴だけで元気になった患者さんも多いようです。水分は1本500ccと十分ですがカロリーは100〜200カロリーです。